2010年10月
1.国名・都市名
アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ市(国際電話国番号1)
2.公館の住所・電話番号
3.医務官駐在公館
4.衛生・医療事情一般
マイアミは北回帰線に近い北緯25度に位置する亜熱帯地です。気候は、11月から4月頃までは気温・湿度ともに過ごしやすい時期ですが、5月から10月はスコール(夕立)が多く高温多湿でハリケーンもしばしば来襲する季節です。年間を通して晴天が多く日中の直射日光も強いため紫外線に対する防御を心がける必要があります。フロリダ州は、米国の南東部に位置し1,900キロメートルもの米国最長の海岸線を有し、人口は約1,833万人です。州中央部から南部にはオーランド、マイアミなど国際的な観光地が多く日本を含め世界中から旅行客が訪れます。マイアミは中南米の玄関口として人や物資の往来も盛んなため、犯罪に巻き込まれる(繁華街においても、物取りなどの被害に遭い怪我をする)ケースも考えられます。さらには輸入伝� ��病に罹患する危険性もありますので、事前の十分な情報収集と現地における注意を要します。また、同州には湿地帯が多く、蚊の媒介する感染症の報告が近年増加中です。防虫対策も十分心がけてください。近年マイアミでは、交通事故も多く(運転マナーが悪いため)事故に巻き込まれないように注意する必要があります。マイアミを含めフロリダ州は最新医療設備と技術を有する医療機関が多く、海外から最新の医療サービスを求め来訪する外国人も多く見られます。しかし、医療費は米国の中でも高額で医療保険の有無により受けられる医療の質に大きな格差が生じています。したがって、来訪者は海外傷害医療保険などに加入されるなど事前の対策を十二分に講じておくことを強く勧めます。また、2009年4月に発生した、H1N1新型� �ンフルエンザの予防接種は2010年より三種混合予防接種に含まれており、自己責任の範囲で接種の是非をご検討ください。
5.かかり易い病気・怪我
(1)熱中症、脱水症など
年間を通して直射日光が強く、夏期は高温多湿となるので熱中症(日射病、熱射病)、日焼けに注意が必要です。
フロリダ州には世界有数の遊戯観光施設が数多くあり、規模が桁違いに大きいということもあって、日中、夢中になって遊んでいると、知らず知らずのうちに脱水から熱中症にかかる観光客の方が多いようです。帽子をかぶる、日陰に入って時々休む、必要な塩分、水分を十分に取るなどの予防策をとることが重要となります。日常生活範囲内でも熱中症は発生します。高齢者、基礎疾患のある方は特にご注意ください。
(2)旅行者下痢症、食中毒など
特に、シガテラ毒(シガトキシン、マイトトキシンなど)によるシガテラ中毒は、熱帯及び亜熱帯の主としてサンゴ礁の周囲に生息するシガテラ毒魚を摂取することによって起こる致死率の低い食中毒の総称で、世界中で毎年約2万人もの人が中毒を起こしていますが、米国ではそのほとんどが、フロリダ州とハワイで報告されています。中毒症状は多彩(150種以上)で、食後15-30分から2-6時間ほどで現れ、1. 嘔吐、下痢などの消化器系障害、2. 血圧降下や心拍数の低下などの循環器系障害、3. 舌や喉のしびれなどの知覚異常、縮瞳などの神経系の障害、4. 脱力、関節痛、筋肉痛、痒みなどの異常が見られます。最も特徴的な症状として、ドライアイスセンセーションと呼ばれる知覚の異常があり、冷たい感じをドライアイスに触れたときのように、あるいは電気ショックを受けたように感じ、暖かいものは冷たく感じる逆転を生ずることがあります。さらに重症になると、全般的な筋肉運動調節異常、麻痺、けいれんがひどくなり、昏睡し死亡に至ることがあります。基本的に死亡率は低いのですが、回復にはときに数ヶ月もかかることがあります。一度中毒にかかると、二度目からは過敏になり症状も重くなる可能性があり、回復期の魚食は絶対に避けなければなりません。
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